2010年05月23日

魚の目の葬式 12

L235
L236 「えなー! ご飯、できたわよー!」
L237  階下から母の呼ぶ声がする。
L238  私は勉強するつもりですっかり寝ていたらしい。まぁ
L239 だいたいいつものことだ。
L240  寝ぼけた頭で、はぁーいと返事する。
L241  微かにカレーの匂いがしてくるようだった。
L242  ふと、小さいころこんなふうに誰かに下から呼んでも
L243 らったことを思い出した。…あれは、従兄弟だったか
L244 な? お互い大きくなってしまったら、それぞれ生活す
L245 る場が遠く離れ、もう何年も会っていない。元気でやっ
L246 ているだろうかとさえ気遣うことの無い存在。
L247  そういえば、久しぶりに思い出した。
L248  歳が十以上違ったが、よく鬼ごっこやかくれんぼをし
L249 て遊んでくれた。その上にいた二人のお従姉妹(ねえ)
L250 さんも。その二人も、どこかに就職したとは聞いたが、
L251 その後も続いているのか、結婚したのか、話しは聞いて
L252 いない。
L253  よく考えたら、随分可愛がってもらっていた。
L254  夏祭りも一緒に浴衣を着て連れて行ってもらったり。
L255 花火をしたり。キャンプ場に行ったり。
L256  あのころは、何か特別なことがなくてもころころと
L257 笑っていたような気がする。
L258  そう、一人っ子でも全然寂しいと思わなかった。
posted by にお とよむ at 23:59| 千葉 ☔| Comment(0) | 本編・魚の目の葬式 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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