2010年05月24日

猫と住む、私。 4

L76  朝、目覚ましが鳴るより早く起きた。
L77  猫がいない。
L78 「………」
L79  呼ぼうと思って、名前がないことに気がついた。
L80  布団から出てキッチンに行くと、昨日牛乳を入れた小
L81 皿の前で座って待っていた。
L82 「そっか、お腹空いたね」
L83  人肌に牛乳を温めて、小皿に入れた。
L84  元気よく音をたてて子猫がミルクを飲んでいる間に自
L85 分もパンを焼いて朝食を取る。
L86  いつものように準備をして、スーツを着込んだあとに、
L87 はたと気がついた。
L88  私が会社に行っているあいだ、この猫はどうしよう?
L89  一匹で置いて出てもいいものか?
L90  まさか会社に連れても行けない。
L91  考え込んでキッチンにいる猫を見た。
L92  呼ばれていると思ったのだろうか…んにゃ、と鳴いて、
L93 とことことやってきた。
L94 「いやいや呼んだんじゃなくてね・・・。困ったなぁ」
L95  足下に来た猫を顔の高さまで持ち上げると、
L96 「お姉さんはこれから仕事に行くんだよ。きみは、一人
L97 で留守番できる?」
L98  猫が、にゃーと答える。
L99  というより、猫用トイレも何も準備してない。
L100  あわてて使えそうなものがないか、家の中を探しま
L101 わった。
  
posted by にお とよむ at 23:45| 千葉 ☔| Comment(0) | 本編・猫と住む、わたし。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月22日

猫と住む、私。 3

L51   とりあえずまだ温かい弁当の上に子猫を戻して、ふか
L52  ふかのバスタオルを出してきた。そのバスタオルの間に
L53  挟んでやる。が、子猫の震えはとまらない。あとは…、
L54  お腹が減っているだろうから何か食べさせないと。まだ
L55  小さいからミルクがいいだろうか? ミルクパンに少し
L56  の牛乳を入れ火にかける。たぶんあんまり熱いのは良く
L57  ないと思うから人肌程度に。
L58   ふつふつとしてきた牛乳を小皿にとり、温度を確かめ
L59  てから子猫のところへ持って行った。
L60   こてっとしている子猫の鼻先へ近づける。反応はない。
L61  人差し指に牛乳をつけて、口の中へ雫をたらしてみた。
L62  微かな反応。もう一度繰り返す。口の中に溜まった牛乳
L63  を飲み込んだ。
L64   自分で食べ物をとる気力もないとは。このままでは
L65  死んでしまうだろう。
L66   何度も何度も牛乳を口にたらした。
L67   そのうち、子猫の顔から力が抜けた。耳を近づけると
L68  寝息が聞こえる。
L69   危機は脱出したということだろうか?
L70   バスタオルにくるんだままで、胡座をかいた膝の上に
L71  のせ、やっと自分の弁当を食べた。
L72   BGM代わりのテレビをつけたままお風呂をすませ、子猫
L73  にもう一度ホットミルクをあたえ、子猫のバスタオルを
L74  替えて布団で一緒に寝た。
L75   今日もまた、私の地味でささやかな日常が終わった。
posted by にお とよむ at 23:59| 千葉 | Comment(0) | 本編・猫と住む、わたし。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月20日

猫と住む、私。 2

L37
L38   玄関に入ると、荷物を置いて子猫を両手で抱き上げた。
L39   毛が濡れてぺったりしている。その下の薄い皮膚が細
L40  かに震えていて、小動物であることを実感させた。
L41   さて、どうしよう?
L42   とんでもなく薄汚れているが、お風呂に入れていいも
L43  のか…。
L44   それとも、暖める方が先?
L45   顔の高さまで持ち上げて、子猫の表情を見る。
L46   さきほど、甲高い声で鳴いていたのが嘘のように、ぐっ
L47  たり目を閉じている。
L48   風呂に入らなくても死にはしない。
L49   まずは自分より先に、猫の腹ごしらえをした方が良さ
L50  そうだった。
posted by にお とよむ at 22:45| 千葉 🌁| Comment(0) | 本編・猫と住む、わたし。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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