2010年05月18日

猫と住む、わたし。


ポツッ ポツッ ポツポツポッポッポッポツ

L1   頭上で連打する雨の音。
L2   傘にあたる雨だ。
L3   雨振る夜に、まわりの傘の色に溶け込むには地味な、
L4  ベージュの傘をさして帰る。
L5   帰りがけのコンビニでお弁当をあっためてもらい、人
L6  気の無い脇道へと入る。
L7   その石畳に雨が落ちて、跳ね返る。窪んだところに水
L8  たまりができて不意に出現するのに、すばやく対応する
L9  ため、足下に神経を集中させて歩く。パンプスに水が滲
L10 みてくる。
L11  街頭がうしろから、傘を通して行く手をぼんやりと照
L12 らす。
L13  その輪の外に、ぐちゃりと汚れた何かがあった。
L14  雨にぐっしょりと濡れた雑巾。誰かが昼間、そこに置
L15 きっ放しにしていったのだろう。
L16  その横を通り過ぎた時、わずかに声がしたような気が
L17 して、振り返った。
L18  誰もいない。
L19  コンビニの袋を握り直して、再び歩き出そうと前に踏
L20 み込んだ。
L21  と、足下の雑巾がーいや、とても小さな小さな猫が、
L22 頭をもたげて鳴いていた。
L23  ふるふると、震えている。
L24  その仕草をじっと見下ろした。
L25  子猫は、立ち上がろうとしているようだがそこまでの
L26 体力が無いようで、水たまりの中にうずこまったまま私
L27 を見上げた。
L28  しばらく、雨にうたれて見守った。
L29  子猫が、這いつくばりながらこちらに顔をむけて大き
L30 く鳴き出した。
L31  私に、拾ってもらいたいの?
L32  子猫はますます激しく鳴き出した。
L33  その子猫を拾い上げた。顔を見る。
L34  いっそう鳴く。
L35  そっと、コンビニで買ったお弁当の上にのせて、家に
L36  帰った。

  

posted by にお とよむ at 23:25| 千葉 | Comment(0) | 本編・猫と住む、わたし。 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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